座布団用語集 は行
はこ(はこ)
四隅が直角になっている座布団の形。
角綴じ(※別項参照)を行う際、角を折らずに、先端にまで綿が入った状態で綴じる方法。 ミシンでの縫製が増えた現在では、「はこ」の座布団が多い。(※「まる」の項目も参照のこと)白寿座布団(はくじゅざぶとん)
99歳を祝う時に贈られる座布団。主に白色。
名前の由来は、「百」から「一」を取ると白になるという洒落から来ている。 還暦の風習をならって白の羽織またはちゃんちゃんこなどを着る場合が多い。
八端(はったん)
桜皮色の地に黄色・黒の縞模様のある綾織りの絹織物。
地が丈夫でやや厚めのため、布団や座布団の素材として好まれる。 明治初期、東京都八王子市に住む福田福太郎が、伊豆大島に伝わる八丈縞(黄八丈)を模して「八反織(はったんおり)」として販売。 男性用の着物・帯地として当時ブームとなった。現在は化学繊維で作られたものが主流。 座布団のサイズの一つ「八端判」の名前の由来でもあるが、実際に八端が使われることは少ない。八端判(はったんばん)
サイズがヨコ59cm×タテ63cmの座布団。
かつて最も一般的なサイズだったが、住環境が洋式化したことによりやや小さめの銘仙判の方がよく使われるようになった。 今でも、旧家など和室が中心のご家庭で使われており、法要や祝事などの来客用の座布団として好まれる。 長時間使用した場合も足に負担が少ないのが特長。 「八端」は織物の名前で、かつて座布団に八端が使用されていたことによる。芭蕉布(ばしょうふ)
別名:芭蕉織。
亜熱帯地方に生息するイトバショウの繊維で織られた布。 沖縄や奄美大島の特産品でもある。 淡茶無地か、淡茶の地に濃茶の縞や絣が入ったものが主流。藍色のものもある。 夏座布団の地として好まれるほか、夏用の単衣、蚊帳、ふすま張地としても用いられる。
パンヤ(ぱんや)
別名:芭蕉織。
パンヤ科の木・カボックの実から採れる繊維。
布団や枕、クッションなどの詰め物として使われる。 日本へは江戸時代に輸入されるようになり、井原西鶴の「日本永代蔵」や「浮世草子」にも描かれている。 カボックから作られた素材だけでなく、パンヤに良く似た化学繊維などもパンヤと呼ばれることがあり、「詰め物」という意味で使われている。引き返し(ひきかえし)
中綿を生地の中に入れる方法。 台張り(※別項参照)により座布団の形に整えられた中綿を、裏返した生地の返し口から被せるようにして入れていく。 中綿がずれないように押さえながら生地を返すには、熟練の技が必要となる。
一筆丸(ひとふでまる)
座布団などで中央に大きな丸を描いた柄。
良い縁を願う縁起物のため商売人に好まれ、特に一筆丸柄の座布団は飲食店からの引き合いが多い。 もともと「丸」には、欠けがない(完璧である)、正しい、満ちた、混じりけのない―など、幸運な意味合いがあり、古今東西で愛されている形でもある。
フクレ織(ふくれおり)
ジャカード織(※別項を参照)の一つで、裏糸の張力で布の表地を部分的に浮かせ、模様に立体感を持たせる方法。 独特の肌触りを特徴とし、マトラッセとも呼ばれる。 地の柄に凹凸による柄が加わることで高級感が生まれる。 女性用のおしゃれ着をはじめ、タオルなどの小物に用いられる。
房(飾り房) ふさ(かざりふさ)
紐の片方を束ねて、もう一方を散らして花のように見せる飾り。 座布団では、中綿がずれないように留める締め糸(綴じ糸)の先をそのまま房にすることが多い。 別の紐で房を作り、足し房(※別項参照)にする場合もある。
布団除湿マット(ふとんじょしつまっと)
布団や座布団の下に敷く除湿用のシート。
フローリングなど、湿気がこもりやすい座布団と床の間に敷くことで、カビやダニの発生を防ぐ。 押し入れに収納する際の湿気・カビ予防にも有効。 日干しすることで何度も再生できるものもある。
布団鋏(ふとんはさみ)
布団を仕立てに使用する鋏。
布団用の糸切り鋏で、刃の先が生地に引っかからないようにするために、丸くなっているのが特徴。 締め糸や綴じ糸などを切るのに使う。使い方は、一般的な糸切鋏と同じ。布団針(ふとんばり)
布団を縫う時に使用する針。
通常の針よりも太く長いのが特徴。 用途によって5㎝ほどの針から8cmほどの針までを使い分ける。 座布団を縫う工程では「大なげ出し針」と呼ばれる針が主に使用される。 また、口絎けには「絎けとめ針」、厚みのある座布団の中綴じには「中綴じ針」が使用される。布団袋(ふとんぶくろ)
布団を保管する時や、引越しなどに使う布団を入れるための袋。 中の空気を抜いて圧縮することで、布団の容量を減らすタイプのものもある。 引越しで使用する場合、業者から無償またはレンタルで提供される。 (※業者によっては提供されない場合もあります)。
米寿座布団(べいじゅざぶとん)
年祝いで88歳を祝う時に贈られる座布団。
主に黄色または金。「米」の漢字が「八十八」に分けられることから、こう呼ばれる。 室町時代から続く風習と言われているが、「米」の字を「八十」と解釈し、80歳の年祝いだったとする説もある。 還暦などの長寿祝いと同じく、黄色のちゃんちゃんこなどを身に付けて祝う。法要座布団(ほうようざぶとん)
法要や仏前での供養の際、僧侶が使用する座布団。
高貴な色とされる紫か、 「金襴(きんらん)」で織られたきらびやかな生地を主に使用する。 読経が長時間におよぶ場合を想定して、中綿を多くし、座り心地にこだわったものも多い。 来客用の座布団に法要座布団風のカバーを掛けて代用する場合もある。 御座前(おざまえ)座布団とも呼ばれる。
ポリエステル綿(ぽりえすてるめん)
石油で作られる人工の化学繊維。
繊維が強く、複雑に絡み合っており、ホコリが出にくい。 安価なので家計にはやさしいが、吸汗性が悪くてムレやすく、日干ししても回復力がないため、本来は座布団の中綿としては不向き。 ポリエステル綿を中綿とする場合、木綿などを一定の割合で混ぜるのが一般的。 そうすることでそれぞれの綿の欠点を補うことができる。