座布団のマナー 1

1.おもてなしをする時

外国の方が日本に来られて一番驚くことは、旅館でのもてなしがとても丁寧で、洗練されていることだそうです。
日本人ならではの心のこもったおもてなしが、スマートにできると素敵ですね。
座布団をおすすめする場合にもマナーがあります。
冠婚葬祭といったあらたまった席の来客時など、失礼のない座布団のマナーを覚えておくと、お客様にも快適に過ごしていただけます。

・お客様が来られる前に…

座布団は通常、あらかじめ敷いておくことはせず、お客様が来られてから運びます。
例外として、来られる方の人数や訪問時間が分かっている場合は必要な数を準備し、席を用意しておいても失礼には当たりません。
その時は、お客様から見て上座の方向に座布団を用意します。
大勢の方が来られる場合は、部屋の隅などに積み上げて置くことも多いかと思いますが、前後・裏表を間違えずにお出しできるように、座布団の向きはすべてそろえておきます。
向きを揃えておくと見た目にもきれいです。(座布団の前後・裏表については別記を参照してください)
また、目上の人をお迎えする場合など、正式な席では座布団カバーを外しておきます。
カバーは本来座布団を汚さないためのもので、お客様には失礼に当たるからです。

・お客様が来られたら…

二つ折りにできる座布団は、二つ折りにしてから運びます。
座布団を手に取ったら一度床に置き、表を中にして折り目が自分の方を向くように二つに折ります。
→下のような図が入ると分かりやすいかも知れません。
こうやって、運ぶ前に前後・裏表が分かる状態にしておくと、お客様に差し出す時に慌てて確認したり、ひっくり返すことなく、スマートにお出しすることができます。

・座布団の持ち方、運び方

二つに折った座布団は、輪の方が自分にくるようにして左手で下から支え、右手を角に添えるようにして持ちます。(礼儀作法の流派によっては、持つ手が逆の場合もあります)
→ここには「二つ折りにした座布団を持つ人の図」が入ります

なお、厚くて半分に折れない座布団や、小さめの座布団の場合は二つに折る必要はありません。
運ぶ際には、二つ折りの時と同じように左手で下から支え、隅に右手を添えます。

身体の低い位置(お腹の前)に座布団を持ち、お客様が座る位置まで運びます。

・座布団の勧め方

座布団を勧める方法には、前から勧める場合と後ろから勧める場合があります。

【前から勧める場合の手順】
  • ①お客様の少し手前で静かに座り、座布団を下に置いて手前に開きます。
    (この時、座布団の前の部分が自分の膝の上に乗ります)
  • ②座布団の中心から手前になでるようにしてシワを軽く伸ばします。
  • ③お客様の方へ滑らせるようにそっと押し出します。
【後ろから勧める場合】
  • ①お客様の横に座り、座布団を手前に開きます。
     (前から勧める時とは逆に、座布団の後ろの部分が自分の膝の上に乗ります)
  • ②③は、「前から勧める場合」と同様にしてください。

→ここには「前から勧める場合と後ろから勧める場合」の図が入ります

・おすすめする際の注意点

座布団をお出しする時には、「お当てください」と声を掛けます。 つい「お座りください」「お使いください」「お敷きください」…と言いがちですが、こちらは正しい表現ではありません。