座布団用語集 あ行
麻座布団(あさざぶとん)
麻地(麻布)で作られた座布団。 吸湿性が高く、肌触りがひんやりしているため、夏用の座布団として好まれる。 また、中綿を少なくするなど、熱がこもらない工夫もされているものもある。俳句では夏の季語として使われる。
麻の葉(あさのは)
正六角形を組み合わせた幾何学模様。 麻の葉を思わせるような柄から、こう呼ばれるようになった。 小紋や鹿の子模様(※それぞれ別項を参照)の麻の葉が主流。
江戸時代に、歌舞伎の衣装の柄として用いられたことから人気となり、若い女性の間で流行した。
また、「麻」の持つ頑丈な性質にあやかって、子どもが誕生すると、麻の葉模様の産着をまず着せる習慣も生まれた。圧縮袋(あっしゅくぶくろ)
ナイロンやポリエステルなどの化学素材で作られた収納用品。 押し入れに布団・座布団を収納する際に用いる。袋の中に布団を入れた後、掃除機などを使って空気を抜くことで、座布団の容量が圧縮できる。
【長所】
- ①少ない収納スペースでも多くの座布団が保管できる。
- ②密封することにより、防湿・防カビ・防虫効果が得られる
- ①中綿を傷める原因になり、座布団の弾力性が失われる。
- ②空気を抜く際に使用した掃除機の臭いが座布団に移ることがある。
霰(あられ)
別名:霰小紋(あられごもん)。 あられのような細かい模様を散りばめた織物や染物のことをいう。 ほかにも、大小さまざまな円形を散りばめた模様のことを示すことがあり、現代のファッションにも多く取り入れられている。 ちなみに、市松模様(※別項を参照)の原型も平安時代には霰(あられ)と呼ばれていたと。
藺座布団(いざぶとん)
畳表やゴザの素材でもある藺草(いぐさ)で作られた座布団。 さらっとした感触がある、汗をよく吸い取る、早く乾く―などの特徴があり、夏用の座布団として人気が高い。 また藺草独特の香りがあり、アロマテラピー効果(ストレスを和らげる効能)がある素材として、注目されている。 俳句では夏の季語として使われる。【使用時の注意点】水拭きをすると変色の原因になるため、汚れた時はなるべく乾拭きすること。干す時も陰干しで。
膝行(いざり)
座布団に座る際、床(畳)から膝を離さずに進む方法。座布団を勧められた時に立ったり座ったりするのは、失礼に当たるため、この方法を用いる。 【膝行のやり方】
- ①まず両手で拳を作り、膝の横に置いた後、拳に体重を掛ける。
- ②進む方向に重心を置き、軽く身体を浮かせる。何度かに分けて進む。 【注意点】☆座布団から降りる場合も同様にして後方に進み、座布団から降りてから立ち上がる☆一度に進もうとせずに、何度かに分けて進む
市松(いちまつ)
別名:石畳文(いしだたみもん)。 色違いの濃淡2色の正方形を交互に並べた模様。 江戸時代の歌舞伎役者・佐野川市松が舞台衣装として好んだことから「市松」と呼ばれるようになった。 着物や帯の地紋としてよく使われる。 市松模様の原型は、平安時代の装束に用いられた「霰(あられ)」であり、能楽の衣装や建築のモチーフとしても用いられた。
打ち直し(うちなおし)
長く使用し、弾力性がなくなった布団や座布団の中綿を機械などにかけて再生し、弾力性を持たせること。 綿をもみほぐす、綿ゴミを取り除く、綿を足すなどの工程を経て、新しい布地で仕立て直す。
良質の布団・座布団の場合、新たに購入するよりも経済的で、粗大ごみにもならないため、エコの観点からも推奨される。 座布団を打ち直しをする目安は①クッション性がなくなった②蒸れやすくなった③日干ししてもふっくらしない―など。円座(えんざ)
ドーナツ型をしたクッション。 お尻に直接触れる部分が少ないため、出産直後の女性や痔を患った人の座布団として用いられることが多い。 床ずれ予防(治療)などにも効果があり、介護用品としても販売されている。。
おざぶ
大阪弁や京都弁で座布団のこと。
「座布団」を「お」を付けて丁寧に呼ぶ、独自の言い回し。 船場(せんば=現在の大阪市中央区)で使われた「船場言葉」の一つで、船場に出てきた京都人から伝えられた言葉ともされる。
※船場言葉―江戸時代に商業都市として栄えた大阪船場で使われた商人言葉。船場は繊維問屋が軒を連ねる地域としても知られている。
小千谷縮(おじやちぢみ)
別名:越後上布(えちごじょうふ)。新潟県魚沼地方に伝わる麻織物。 イラクサ科の多年草、カラムシ(荢麻)の皮から紡いだ繊維を織って作る。 布綿に細かい凹凸があり、軽くて通気性も良いため、夏用の布製品として用いられる。 雪深い魚沼地方では、主要な冬の産業でもあり、農村で暮らす女性たちの収入源でもあった。 1955年には重要無形文化財に指定された。